安全不確認による事故とその罰則
警視庁が行った平成30年度の交通事故統計によると、同年度の事故原因のトップは「安全不確認」。具体的には128,224件で、2番目に多い「脇見運転」が60,990件でしたから、その約2倍の数が安全不確認によって引き起こされた事故でした。
日常的に運転する方はもちろん、プライベートであっても車を運転する時はある程度の緊張感があるものの、それが長時間にわたるとどうしても注意が散漫になったり、自分の知らない道であれば信号を見落としてしまうなども起こりうるものです。
特にいままで交通事故を起こしたことがないという方はどうしても現実感が持てず、事故に対する認識が甘くなってしまうものですから、改めて安全運転について一度考えてみるのはいかがでしょうか。今回は先の交通事故の原因トップ「安全不確認」について記事を書いていきたいと思いますので、一緒に確認してまいりましょう。
★安全不確認による事故とは★
では冒頭の「安全不確認」とは何かと言えば、その名の通り運転時に「安全確認が足りないこと」を意味しています。運転中前方の安全性を確認することは勿論、後方や左右の確認も求められており、車線変更時や合流時にこれを怠ると他の車やバイク、自転車、歩行者と衝突する危険性があります。
例えば右折のためにはまず車を道路の中央付近に寄せなければなりませんが、その際には自分の車の右側に何もないことを確認しなければなりませんし、実際に右折する際には対向車や歩行者、軽車両などが来ていないかなど対向車線の状況を確認し、また右折先の道路状況についても確認して安全に右折できるかどうかを確かめる必要があるでしょう。
このように、自分の動きによって他者に被害が及ばないかを予め十分確認することが「安全確認」であり、これを怠ってしまうことを「安全不確認」というのです。
★安全不確認による事故で与えられる罰則★
前述の通り「安全不確認」は最も多い事故原因となっていますが、これに続いて多い「脇見運転」や「動静不注視」、「運転操作不適」なども含めて安全走行に必要となる運転操作や状況判断の不足で起こる事故はすべて、法律上「安全運転義務違反」による事故と見なされます。従って事故を起こした場合、それが「安全不確認」であったのか「脇見運転」だったのかによって罰則が異なるということはなく、すべて「安全運転義務違反」として扱われるわけです。
具体的には、安全運転義務違反による加算点数は2点、また反則金は大型車が1万2000円、普通自動車が9000円、二輪車が7000円、原付車が6000円となっており、期日内に支払わない場合は3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課されることになります。
このように安全不確認を含め安全運転義務違反に課される罰則は妨害運転や飲酒運転などの他の違反行為と比べると軽度ですが、これはドライバーの過失が小さく被害が軽度である場合のことで、もし安全不確認により重大な事故を起こしてしまった場合は禁固刑や懲役刑などの刑事罰が課される可能性があります。刑事責任の有無や刑事罰の内容に関しては、事故状況に立ち会った警察が調査し、検察に書類送検して決定されることになります。
★まとめ★
今回は交通事故の大きな原因となる安全不確認について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、安全不確認はもちろん罰則の対象となってしまうだけでなく、運転中の不注意は他人の命を奪ってしまう可能性もありますから、改めてご自身の運転を振り返ってみましょう。
とはいえ、いつでも安全運転の意識を持って運転しているという方も多いでしょうから、例えば以下の安全運転に関するテストを定期的に実施してみるなどはいかがでしょうか。ご自分では気づけない不注意な点などが見え、さらに安全運転を確実なものにできるかもしれませんので、おすすめです。